全国行脚|すみからすみまで墨のおはなし

全国行脚|すみからすみまで墨のおはなし

錦光園七代目・長野睦が、墨の魅力と文化を伝えるための全国行脚プロジェクト。

【全国行脚】『わかやまシュナイダー学園』~和歌山 紀の川 編~

 最寄りの駅から、車で山道を進み、トンネルを2つ抜けた先。

自然の中、周りは畑などが広がりのどかな場所に訪問先の「わかやまシュナイダー学園」はあります。

 

 

 学園の敷地に入って一番最初に見た光景はなんと「火おこし」。

児童達が地面に座り込み、手づくりの火おこし器で一所懸命に木を回して火をおこしていました。

聞けば敷地内にあるこちらも手づくりの出来たばかりの釜の火入れ式を行うためとのこと。

「学校」という考えが念頭にあった為、いきなりびっくりさせられた光景でした。

 

 

 その後は開催場所での準備を経て、早速「すみからすみまで墨のおはなし」の始まり。

シュナイダー学園は複式学校の為、小学校低学年から上は中学1年生まで学年・年齢を跨いで参加してくれました。

少人数制かつ、校舎も学校というよりは共同生活をしている家という感じ。

児童達もみんな人懐っこくアットホームな雰囲気でした。

 

 

 

 前半は材料の話から墨づくりの実演見学など、児童達も興味津々。

中には「焚火」が趣味という児童も。

墨の材料で煤を採取する際、松の木を使用するのですが、その煤の取り方など、自分以上に詳しかったりしたのは驚きでした 笑

 

 

 実際に墨木型の実物を使って、児童の何人かは本物の墨づくりにもチャレンジ。

当然、上手くは出来なくても生墨ならではの感触を体感することで、墨に少しでも興味を持って欲しいなという願いを込めて。

 

 

 後半は事前に各自拾ってきた石をで墨を磨り、書く・描くワークショップ。

児童達が普段使用している硯は、プラスチックの硯。

石でこちらが用意していた墨を磨りだし、開始早々「もう黒くなった!」と、墨がおりるスピードに驚く児童も。

 

 

 後は磨り放題、書き放題。

先生含めて各自各々の時間。

 

 

 漫画家志望の児童のリアルな絵や低学年らしい可愛らしい絵、諺・四字熟語を書いたりなど児童により様々。

 

 会の最後は、「家族・友達」に向けたメッセージや絵を、用意していたはがきサイズの和紙に書いてもらいました。

最初は恥ずかしがって中々進まない児童も終わってみれば何枚も書いてくれていました。

毎度のことですが、基本的にこちらからの指示は一切無し。

中には筆をたたき墨液を飛ばして模様にする児童がいたりと、毎回そうですがこの会の中で児童達が教えずとも表現方法を独自で発展させていく様を見ているのは凄く楽しいです。

 

 

 会の終了後には校舎内でお弁当を頂き、その後は児童達の教室を見学させてもらいました。

丁度掃除の真っ最中、掃除が終わって昼からは、児童達による落語の発表会があり、保護者の方も見学に来られるとのこと。

火おこしから始まり、墨のワークショップ、落語と様々なことを児童に体験させてあげられる環境は素晴らしかったです。

 

 

 ほのぼのとした居心地の良い空間で有意義な時間を過ごさせてもらい、また来年も伺うことを約束して和歌山を後にするのでした。

 

 

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