七代目ブログ

奈良の墨とお菓子の関係

◆奈良の菓子

奈良は日本の古都なだけあって、大陸から様々な文化が伝わり、その影響を大きく受けたものが日本中に広まっていきました。奈良発祥の菓子もその中の一つです。奈良の市街地を散策していると、実に多くの和菓子屋さんを見掛けると思います。それだけ、奈良は昔から菓子の盛んな地域でした。現に錦光園の近く、徒歩にして数分の距離にある漢國神社(かんごうじんじゃ)には饅頭の祖と言われる林(りん)神社があります。その昔、宋の時代、中国から日本に渡来し、奈良の地で初めて饅頭を作り始めたとされる「林浄因(リンジョンイン)」さんを祭る神社として大変有名で、毎年4月には様々な菓子屋の饅頭を集めてお祝いする「饅頭祭」が開かれています。また萬春堂(まんしゅんどう)という和菓子屋さんでは、奈良を代表する墨の形を模したお菓子「1挺墨(いっちょうすみ)」なるものもあったりします。墨の個数や重さの単位は、通常、「1丁(ちょう)」「2丁(ちょう)」と言い、地元の歴史・文化の深い結びつきこそが奈良の魅力の1つかなと思います。

 

~漢國神社~

https://kangou-jinja.jp/

~萬春堂さん~

http://www2.enekoshop.jp/shop/manshundo/item_detail?category_id=558882&item_id=2484780

 

◆桜の木を使用した菓子木型

和菓子の中でも、落雁と呼ばれる干菓子は、それ専用の桜の木で作られた木型を用いて作ります。専門の職人が彫って作成した専用の木型はそれぞれ形や大きさ等の特徴があり見ていて大変楽しいものです。その多くは祝いに関する型が多く、出来上がった干菓子は食べるのももったいないぐらいです。錦光園ではこの落雁で使用される木型を用いて墨を作っています。墨の木型の材木は、基本、梨の木が多いのですが、過去、その材木が少なかった際に、先ほどの落雁で使用される桜の木を使っていた事もありました。材木の性質上、少し似ているところもあり過去使用されたりしています。

 

◆共通の製造工程(?)

また不思議な事に墨と落雁は非常にその製造工程が似ていると自分は思っています。というのも墨も落雁も柔らかい生地を木型にはめ込み形を整え、取り出していきます。その後、乾燥させ固めていく・・・それらの工程が非常に似ているのです。前述のとおり、材質は違えど、木型に入れて作る流れから非常に両者は似ています。またそれらが奈良の地を発祥とする文化同士というのも非常にストーリーがあって面白いなと個人的には思っています。どちらもその用途である「書く」「食べる」といったことだけでなく、「見て楽しむ」という要素を持っており、それが両者に共通する素晴らしい魅力の一つかなと思います。

 

◆錦光園の菓子木型墨

錦光園でもお菓子と関連した墨があります。それが「菓子木型墨」です。先の落雁の型に直接、固める前の生の墨をはめ込み形を整え、その後、通常の墨とは違う特殊な方法で乾燥させていきます。出来上がった墨はまさにお菓子そのもの。ただし墨で作っているので真っ黒のお菓子です。当然食べる事はできませんが、その見た目の面白さや落雁特有の縁起物を型どられている為、お土産としてご購入して頂き、訪れられた方々にご好評を頂いております。是非、錦光園の工房に来られた際はご覧になっていって下さい。

 

~錦光園WEBサイト 「菓子木型墨」~

https://kinkoen.jp/kaorisumi/kashikigata/

 

奈良の墨とお菓子の不思議な関係。それは、歴史・文化のある古都奈良で、同じ時代を過ごしてきた、必然的な出会いだったと自分は思っています。

 

このページのトップへ