七代目の挑戦

墨の頭の「〇印」について

先日、お客様からとあるご質問がありました。

墨の頭にある「〇の数の違いは何か?」という内容です。

 

答えをお伝えすると、〇の数はは煤の粒子の細かさを表しています。

全部で5段階で1つ〇から5つ〇まであります。

 

基本的には油煙の煤の昔ながらの採取の仕方ですが、ホームページ内に記載の製造工程の写真で「01採煙」をご覧になって頂ければ炎の上部に土器の蓋が置かれていますが、その蓋の設置場所の高さによって煤の粒子の細かさが変わってきます。

 

https://kinkoen.jp/about/workshop/

蓋の高さが高いと煤の粒子は細かく、低いと煤の粒子は大きくなり、細かければ上物扱いになります。

5つ〇は煤の中でも最も高い場所で採取されたもので高級になってきます。

 

というのも煤は細かく上質のものなのですが、一定量の油を燃やして採取出来る煤の量は少なくなってしまいます。(蓋の裏側に煤が付着する前に大半が完全燃焼し空気中に散ってしまう為)

 逆に低ければ煤の粒子は大きくなりますが、採取出来る煤の量は多くなります。

 

価格が違うのは上記の理由からということになります。

ただどちらが良い悪いではなく、コストや色の好み、その方の使用用途に選らんで頂ければ良いかと思います。

決して不良品といったものでもありません。

 

 

最後に1点。

 

煤の価格差は確かにありますが、どの煤を使おうが、墨の作り方は全て人の手で1つ1つ同じ製法で作られます。

1つの墨が出来上がるのには早くても数か月から2年近くかかり、そこに優劣の差はないというのが自分の見解です。

 

どんな墨であれ、使って頂ける方に喜んで頂きたいというのは、自分だけでなく奈良墨の産地に携わる関係者、全員の願いだと思います。

 

 

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