すみからすみまで墨のおはなし

【全国行脚】 『鎌倉覚園寺・MUJI ホテルメトロポリタン鎌倉』~神奈川 鎌倉 編~

◆1日目

 

初の鎌倉。

前職の関係で東京に住んでいた際、よく神奈川に行ってましたが、鎌倉には降りたことがなく、こうして奈良に戻って来てから行くのも不思議な感じ。

そんなふわふわした感じのまま、早速初日の会場である鎌倉覚園寺さんへ。

 

事前に色々な方から「凄い場所」と聞いていたのですが、着いて入るなり納得。

敷地内はある種の神聖さを感じる森。

正直、自分の拙い言葉なんぞで伝える事は出来ないぐらい素晴らしい場所。

ただし、敷地内の写真が基本NGな為、覚園寺さんの公式動画を是非ご覧頂きたいです。

https://www.youtube.com/watch?v=CJgV7a1HvHA

 

 

到着後、敷地の奥に進むと藁葺屋根の大きな古民家があり、そこが初日のワークショップ場所。

こちらも中に入ると大きな昔の土間がある雰囲気抜群の場所。

早速準備開始し、昼食を撮った後にすぐに参加者の方々がやって来られました。

参加者は大人と子供、年齢層もバラバラ。

 

早速、自身のパートである第一部がスタート。

墨の話や製造の実演など、大人の方もお子さんも興味深々に見てくれました。

 

 

その後は、1人づつ自身の作業台で生墨に触れ、にぎり墨の製作を開始。

いつもならある程度こちらで整形したものを握ってもらうという流れなのですが、今回はその生墨の整形の段階から参加者の方々にしてもらいました。

ただそれが一番難しい作業なのですが、、、

 

でもいいんです。

 

綺麗なものを作るのではなく、墨を知り、墨に触れてもらうことが自分の願い。

生墨の手触りや香りを体験して、しっかり記憶に残してもらえることの方が遥かに大事と思っています。

なんだかんだで皆さんワイワイしながらにぎり墨の製作を楽しんでくれていました。

 

 

 

終わった後は大人の方からお子さんまでここぞとばかりに質問攻め。

こういうのは凄く嬉しいですね。

一般の方から書道の先生まで様々な方々からの質問を受けさせて頂きました。

 

 

 

余談ですが、鎌倉を去った後も、当日参加して下さった方々から連絡を頂きます。

自分がこれからしようとしていることは、自分1人で起こす何かではなく、皆で起こすムーブメント。

自分はその為の種まきをしているに過ぎません。

 

各々思うところ、感じいるところがあられたみたいで、参加して下さった方々にほんの少しでも影響を与えることが出来たのであれば凄く嬉しいです。

 

 

その後は、第二部。

書道芸術家の松村栄鶴さんの「整う書道」の時間。

「墨屋さんだから書道されるんですよね」

いつもよく言われるのですが、自分はしていません。

むしろ字は滅茶苦茶汚くて、その言葉が毎回プレッシャーなのです。

 

なお、栄鶴さんの教えは基本にのっとり、ひたすら「一」を書くというもの。

 

ただこれが本当に難しい。。。

 

途中、栄鶴さんにも指導して頂いたのですが、自分の出来なさに笑うしかないのであります。

それにしても人に書道を習うというのはいつ以来のことか・・・

自分でも思い出せないぐらい。

 

 

最近は自分が主体となってワークショップを行う、いわば教える側の立場が多かったのですが、今回は他者のテリトリー内でひたすら没頭するのでした。

書道関係者という点では同じ業界にはいるのかもしれませんが、自分にとっては大変新鮮な時間でした。

 

ただ、作務衣を着たオジさんが作務衣を着たオジさんに教える図は端から見ていると不思議な光景だったと思います 笑

 

 

また今回、素晴らしい場所を提供して下さった覚園寺のご住職である仲田順昌(じゅんしょう)さん。

気さくでありつつも、控えめで謙虚、芯の強さを感じるお姿に敬服の念を抱いた次第です。

そして、順昌さんも皆が思い思いに書いた紙に筆を入れて下さいました。

 

 

ちなみに、順昌さんを挟み、栄鶴さんと3人で撮ってもらった(撮られていた?)下の写真は今回の旅の一番のお気に入りです!

 

 

 

◆2日目

 

翌日は鎌倉駅付近の無印良品さんのMUJI カフェ内で栄鶴さんとのクロストークからスタート。

 

 

お題目が「伝承」。

互いに関係のある職種にありながら何故、家業・仕事を継いだのか、2人とも全く異なります。

 

 

世間でいうところの一般的な職種と違い、かなり偏りのある仕事なだけに、その世界への入り方はそれぞれかもしれないけど、共通する所はやはり親の影響は大きい。

見えないところで、自分も知らず知らずのうちに、自分の中に入り込んでいるのが親の存在。

自分にとってはその親の姿があったからこそ継いだのは間違いないけど、何一つ重荷に感じることなく、自分で継ごうと思って継ぎました。

 

「伝承」という凄いワードで言って下さるのですが、自分にとって跡を継いだというのは息を吸うぐらい自然なことというのが本音です。

多分、どんな人でも親から伝えられたこと、感じ取ったことが仕事に問わず1つぐらいはあると思います。

自分はたまたまその内の1つが「墨屋」ということだっただけなんです。

なので改めて「伝承」というかしこまったワードが頭の中を先行してしまい、逆に少し緊張してた次第です。

 

途中、急な無茶振り?で墨の話や製造実演なども行いましたが、会の締めは栄鶴さんの指導で「整う書道」。

そして奈良から持参した墨を磨り、参加者の皆さんで栄鶴さんの「祈」の一文字の周りに皆が「一」を書き入れる作業。

参加された方々にも喜んで頂けたようで何よりでした。

 

 

その後、会も終わり片付けの最中にたまたま会の場所を提供して下さった店舗の店長さんとお話する時間があったのですが、、、

とにかく無印良品という会社のイメージが、自分が昔からしていたイメージと全くもってかけ離れていてびっくり。

今となっては一般的にはなってきましたが、地域との関わり・地域貢献という点において、本当に昔から取り組まれているのを知りました。

今回、場所を提供して下さったのもその一環。

ただそれらの事実を鎌倉で知るとは。。。

会の終わりに何故か店長さんと企業理念を長々話しあうという、不思議な時間。

ただあの居心地の良い空間はそういった素晴らしい理念に基づき、場を使って欲しいという店長さんのような方がいるからこそだとしみじみ思うのでありました。

 

 

 

◆鎌倉の人たち

 

最後に今回、自分を鎌倉に呼んで下さった「鎌倉まちごとオーケストラ」さん達のご紹介。

人とのつながり、新たな発見を心から喜び、地域に、社会に、子供達に何が出来るかを本当に心底考えられている素敵な方達ばかり。

民間でもこれだけのことが出来るということを信念を持って進めておられます。

最初はその流れに強引に?巻き込まれた感じがしましたが、今ではその流れにいることが心地良くてたまりません 笑

素晴らしい出会いを頂き大感謝です。

 

 

今回、鎌倉に初めて伺いましたが、すぐに大好きな場所になりました。

 

多分、それは大好きな人達が出来たからなんでしょう。

 

 

近い将来、また鎌倉に行く理由が出来ました。

 

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