七代目の挑戦

ただの黒い塊が形を変え1つの作品に変わる。

 

字や絵。

 

黒といってもその奥行きの色合いは千差万別。

 

その懐の深さは他の筆記材の追随を許さない。

 

千年以上前から作られているのに、何百年も前からその製造方法はほとんど変わっていない。

 

形を整えた墨たちは長い長い乾燥期間を経ていく。

 

製造には数か月、中には数年かかるものも。

 

その期間、墨は呼吸し続け、自身の中身を刻々と変化させていく。

 

「墨は生きている」とはよくいったもの。

 

まさに墨は生きている。

 

自分達は成長していく墨の手伝いを少ししているだけに過ぎない。

 

ただそれだけ時をかけて出来た墨たちは磨って一瞬で無くなる。

 

ただの黒い塊が見事な作品に生まれ変わる。

 

それが墨のはかなさであり墨の素晴らしさ。

 

かすれて無くなっていくものから浮かび上がる何か。

 

自分はその奥深さを表現できる言葉を持っていない。

 

それだけ墨の魅力は筆舌に尽くしがたい。

 

だからこそ沢山の方を魅了してやまないのも分かる気がする。

 

 

そして今日も墨をつくる。

 

 

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