写真で知る 墨・硯・紙
最近読んだ墨に関する文献、為近麿巨登著の「写真で知る 墨・硯・紙」。これがまた物凄く面白く、興味深いもの。筆者自身がそれほどの書歴がないとの事。それにも関わらず、内容としては電子顕微鏡等を使って墨の研究を重ね、結果をもとに過去からの業界の常識や伝えられてきたことに対し、一部異論を唱えているというもの。ただそれ以上に面白いのは業界に対する億すことなく堂々と述べている所。研究結果だけを述べているだけではなく、あくまでも一般の方が墨を選ぶ手がかりになるように、墨の業界に対する提言をこの本の中でしている点に非常に感銘を受けました。今、自分の立場や動き、錦光園の今後の方向性に関して非常に被る部分があり、ある意味読んでいて爽快感を覚えました。墨の全てを伝えられるものでもなく、人それぞれの受け取り方も違いますが、全ては分かりにくい墨を分かり易く。その魅力を少しでも丁寧に、そして1人でも多くの方にお伝え出来ればと思っています。