七代目の挑戦

煤と膠の撹拌 その1

 墨作りは基本手作りで行いますが、材料となる煤と膠の撹拌(かくはん)だけは撹拌機を使います。錦光園の撹拌室は型入れ作業場の隣にあるのですが、部屋は密室で内部には煤が舞っています。明かりをつけても景色に靄がかかるほど煤が舞っているのが写真から分かると思います。この撹拌機の中に煤と熱した膠を流し込み混ぜ合わせ、最後に墨の香りのもとになる香料を加えます。そして出来たものが「生墨(なまずみ)」と呼ばれる墨の原型で、黒い粘土のようなものが出来上がります。この生墨を更に揉みこみ、例の墨木型に入れて形を整形していきます。ただこの撹拌機自体、もう40年近く使用しているのでいつ壊れるか分からず正直ビクビクしています。壊れて修理といってこんな煤だらけの真っ黒の部屋で修理するのも業者さんは絶対に嫌がると思いますし、、、機械だけが煤まみれならまだマシですが、地面も煤だらけ、空中も煤だらけの為、修理してもらう業者さんはかなり覚悟がいると思います。とはいえ今の墨作りには無くてはならないものなので、これからも大事に使っていきたいと思います。

 

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