墨の付加価値
墨は乾燥終了後、表面の汚れを水で軽く洗い落し、乾かした後、表面に専用の上薬を塗ります。仕上げの方法によっては表面を磨くことで光沢を出し、くすんだ黒色の塊だった墨に見た目の要素での付加価値を与えていきます。手に持った際に汚れないようにという実用的な目的もあるのですが、それ以上に「書く」という使用目的だけを考えた場合、正直必要のない作業です。ただし墨の場合、視覚でも楽しめる要素を併せ持つ為、そういったひと手間を加えていきます。その手間こそ日本のものづくりの素晴らしさ、ものづくりに対する姿勢の表れだと思っています。昔の方々が長く大事にしてきたそれらの積み重ね。いまも墨作りはそれら数百年前からの製法を大事にしています。表に出す商品ではありませんが、先日軽く表面を棕櫚で磨いてみました。所詮素人の写真なのでその差が分かるか少し微妙な所ではありますが。。。
WEBサイト「奈良墨のひと」でも、墨を磨く専門の仕事を生業にしている鈴木さんの記事を掲載していますので機会があれば是非お読み下さいね。
◆「奈良墨のひと」